
日本に学ぶ癒やしと綺麗の智慧 Vol.10 沖縄県・竹富島
SUMMARY
- ・うつぐみの心が息づく島の住民になった心持ちで過ごす穏やかなリゾート
- ・古来、島人たちが用いてきた命草のパワーで快活に
- ・まとめ
世界中のホテルスパを取材し、各地の健康や美のルーツを体験し続けている、トラベル&スパジャーナリストの板倉由未子さんが執筆するコーナー。
今年は毎月、日本の1地域にフォーカスを当て、その土地に根づく“おばあちゃんの知恵袋”的なウェルネスメソッドを、温泉やスパトリートメント、文化体験などから紐解いていきます。
その土地の健康法や癒やし、滋味あふれる食事について探りながら、日本を一緒に旅してみませんか?
今回は、人口約300人余り、沖縄県・竹富島にある「星のや竹富島」です。昨年、開業10周年を迎え、ますます地域との共存共生を感じるリゾートです。
うつぐみの心が息づく島の住民になった心持ちで過ごす穏やかなリゾート
沖縄本島から南西約400kmに位置する、八重山諸島のひとつ竹富島。澄んだ空と海に抱かれた島には、琉球赤瓦の屋根、珊瑚石の手積み石垣、白砂の路地など、今なお、沖縄の原風景が残っています。その美しさは、この地に伝わるうつぐみ(=一致協力すること)の精神によって守られています。
島の東部、約2万坪もの敷地がある「星のや竹富島」は、全客室が島の家々と同様に、伝統的な建築基準に則って建てられ、ひとつの集落となっています。夕方、「ゆんたくラウンジ」で開催されている、地元演者による三線と古謡の「夕凪の唄」に耳を傾ければ、のんびりした島独特のリズムに自然となじんでいくことでしょう。
夕食は戸建ての客室で味わう島鍋もおすすめですが、一度はメインダイニングへ。八重山の島々の生命力あふれる食材を使ったフレンチ「島テロワール」を味わうことをおすすめします。中洲達郎シェフは、島人の健康を守ってきた命草(ぬちぐさ・ハーブや野菜の総称)を使い、季節ならではの品々を提供。健やかな味わいと美しい盛り付けに心身が満たされ、活力が沸き上がってくるはずです。
古来、島人たちが用いてきた命草のパワーで快活に
長年、竹富島には医者がいなかったため、島人たちは土地に自生する薬草を用いて、自身や家族の健康を維持してきました。リゾートの広大な庭にも何百種類の草花が生息。スパでは、サトウキビ、月桃、シークヮ―サーなど、島でなじみのある植物からつくられたトリートメントジェルや芳香オイルを用いられています。体験すべきメニューは、命草のパワーを満喫できる「命ぐすい草の休息 ブガリノースン」。
環境保全に留意した植物成分配合の水溶性ジェルで全身のマッサージが行われた後、足先やデコルテには、長命草やフーチバ(よもぎ)を中心とした命草ともち米を練り合わせ、布で包んで蒸した薬草ボールが押し当てられます。何ともいえない心地よい温度と感触に、心身の緊張がほぐれて体の芯から温まり、血の巡りが改善され、安心感に満たされるでしょう。
まとめ
朝はアイヤル浜で行われる「よんなー深呼吸」(無料)に参加し、朝日を浴びながら、爽やかな空気を吸収。そして、就寝前には、世界有数の星空を眺められるプールサイドで「てぃんぬ深呼吸」(無料)を体験すれば、スムーズに眠りの途へ。
美しい自然環境の中で時間に追われることなく、好きな時間に食べ、行動し、眠り、本能のままに過ごせる至福の滞在。日々の喧騒に疲れたら、本来の朗らかな自分を取り戻しに、ここを訪れてみませんか。
星のや竹富島
HOSHINOYA Taketomi Island
沖縄県八重山郡竹富町竹富
℡ 050-3134-8091(星のや総合予約)
料金:1室¥112,000〜(税・サ込、食事別) 通常予約は2泊から
スパ:命ぐすい草の休息 ブガリノースン 90分30,500円(税・サ込、所用時間120分)
アクセス:石垣港よりフェリーで約10分 竹富港より送迎有
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/hoshinoyataketomijima/
トラベル&スパジャーナリスト
板倉由未子
Yumiko Itakura
『25ans』などの編集者を経て現職に。世界を巡り、土地に息づく癒やし、健康、食、文化をテーマに、各メディアで五感に訴える旅企画を提案&執筆。政府の国際機関や観光局、企業主催のセミナーなどでも、スピーカーを務める。また、イタリア愛好家としても知られ、『イタリアマンマのレシピ』(世界文化社刊)を構成&執筆。また、昨年11月から始まった日本政府観光局のグローバルキャンペーンでは、リラクゼーション分野の専門家として、日本の癒やしについて語っている。Expert Insights Go Deep Into Japan
photos:Yumiko Itakura