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世界に学ぶ癒やしと綺麗の智慧 | vol.5 中国・海南島

SUMMARY

  1. ・透明感あふれる空と海に心が洗われる南国のオアシス
  2. ・優雅な雰囲気の中、本格的なTCMを体験し心身と向き合う
  3. ・まとめ

心身のバランスを整えることで、
体の痛みも軽減する

世界中のホテルスパを取材し、各地の健康や美のルーツを体験し続けている、トラベル&スパジャーナリストの板倉由未子さんが執筆するコーナー。
毎月、1地域にフォーカスを当て、その土地に根づく“おばあちゃんの知恵袋”的なウェルネスメソッドを、スパのリチュアルやトリートメント、文化体験などから紐解いていきます。
その土地の健康法を探りながら、世界を一緒に旅してみませんか? 今回は、中国・海南島にある「マンダリン オリエンタル 三亜」です。

透明感あふれる空と海に心が洗われる南国のオアシス

中国のハワイといわれ、温暖な気候とトロピカルなムードがあふれる海南島・三亜。周辺の海にはサンゴ礁が広がり、真っ青な空と海、白砂のビーチが印象的です。「マンダリン オリエンタル 三亜」は、三日月形の風光明媚な大東海ビーチにあり、南シナ海を望む美しい丘や豊かな森林があふれ、リラックスした雰囲気の中、優雅に中国の癒し文化を肌で感じられるリゾートです。海南&広東料理レストラン「イー・ヤン」では、名物の茹でた文昌鶏はもちろん、豊富な種類の中国野菜を使った品々や薬膳スープなど、ヘルシーかつ滋味豊かな中国料理を堪能できます。

優雅な雰囲気の中、本格的なTCMを体験し心身と向き合う

中国の伝統療法といえば、世界三大伝統医学のひとつに数えられる中国伝統医学(以下TCM=Traditional Chinese Medicine)。
現在では効果実績が伴う補完・代替医療として、世界中で認知されています。必ず最初にコンサルテーションが行われ、中医師は、顔色、舌、肌の状態、声の調子や呼吸、既往歴、脈診などを通してひとりひとりの現状を把握し、最適な治療、中薬、鍼灸、推拿(すいな、整体)、気功などを決定します。
現代医学では解決しにくい慢性病の改善や免疫の向上に優れているといわれています。 3,200㎡もの広さがあるこちらのスパは、緑と水の安らぎを感じるシークレットガーデンを擁する安らぎの空間です。王道のTCMを優雅に体感できるスパとして、世界中の美容通から支持されています。トリートメントはもちろん、健康に生きるためのヒントとなる禅茶のセレモニーやウェルネスキュイジーヌを楽しむこともできるのです。 体験すべきメニューは「チャイニーズ・タイムリチュアル」。
リゾート専属の中医師が、事前に記入した既往歴や現在の体調などに関する問診票を基に脈診。 併せて、ゲストの眼光や顔色、肌や舌の状態をチェックします。
訪問時、私は右肩の違和感に悩まされていました。ドクターから「あなたは健康ですが、眼精疲労や局所的な筋肉の凝りに悩んでいませんか」といわれ驚きました。症状を伝えると、ドクターは右肩を触診。
「心配はないです。加齢によるホルモンバランスの変化が大きな原因でしょう。重要なのは、毎日リラックスできる時間をつくること。少林寺気功や太極拳など、ゆったりした運動がおすすめです。そして、定期的に灸を受けて、血の巡りをよくしてください」とアドバイスされました。
コンサルテーション後、ドクターから指示を受けた熟練セラピストによって、ひとりひとりに最適なトリートメントがアレンジされます。私はマッサージと灸、刮痧(かっさ)を体験しました。
このリゾートでは、毎朝、ドクター・フーによる少林寺気功のクラスがゲスト向けに行われています(無料)。 少林寺拳法を取り入れた動きで、全身の気の流れを活発にし、体の左右バランスを調整。 筋が伸びて血行も促進されます。2泊3日の滞在で、心身ともにすっきり。
日に日に痛みや強い凝りは緩和され、肩の痛みは順調に治っていきました。

まとめ

ホリスティックな見地から不調の原因を探るTCMや少林寺気功を体験すると、心と体は繋がっているということを実感できるでしょう。
読者のみなさんの中で、年齢を重ねるごとに不具合を感じるようになっていたり、気になる症状が慢性化しているという方もいらっしゃると思います。
TCM、少林寺気功、禅茶など、中国の長い歴史の中で育まれてきた奥深い癒やしのメソッドは、日々の生活習慣を改善する大きなきっかけとなるはずです。
Mandarin Oriental Sanya マンダリン オリエンタル 三亜 12 Yuhai Road, Sanya 572000 Hainan,China ℡+86 -898-8820-9999 チャイニーズ・タイムリチュアル 120分1,680元 アクセス/三亜鳳凰国際空港からホテルまでは車で20分。
<レート> 1元≒19円(2022年4月下旬現在)
 
トラベル&スパジャーナリスト 板倉由未子 Yumiko Itakura
『25ans』などの編集者を経て現職に。世界を巡り、土地に息づく癒やし、健康、食、文化をテーマに、各メディアで五感に訴える旅企画を提案&執筆。政府の国際機関や観光局、企業主催のセミナーなどでも、スピーカーを務める。また、イタリア愛好家としても知られ、『イタリアマンマのレシピ』(世界文化社刊)を構成&執筆。
Photos: Yumiko Itakura
               
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