
フルーツを食べる人 vol.5 イチジク
SUMMARY
- ・最古のフルーツ、イチジク
- ・花はないようで、実はある?
- ・夏が旬か、秋が旬か
- ・美容に最適な栄養が豊富!
特集記事としてお送りしている”フルーツを食べる人”。
ご期待に応え、今回で5回目の連載となりました。
今回は、最も古くから人々に愛されてきたイチジクを取り上げます。
古代ギリシャやローマ、インドなどで古くからの逸話に度々登場するイチジクは、人間が栽培した最古のフルーツと言われる。
漢字では「無花果」と書き、一見すると花がないように見える。しかし、イチジクの花は実の中に隠れて咲いている。実の内側は空洞になっており、小さい粒がたくさん並んでいるのが花なのだ。つまり、可食部分は実ではなく、花である。
実の内側が空洞になっているのには理由がある。イチジクの原産地であるアラビア近辺ではイチジクコバチという蜂がこの空洞の中に卵を産みつける。やがて孵化し、その中で成長したのち飛び立って別のイチジクに産卵しにいくのだが、この時に体にイチジクの花粉をつけることでイチジクの受粉を手伝うという共生関係にあるのだ。
原産地から離れた日本などでは、イチジクコバチが受粉を助けなくても花嚢(かのう)が肥大成長して熟果となる品種が栽培されている。
イチジクには夏に実る「夏果」と秋に実る「秋果」あるいは、初夏と秋両方に実がなる「夏秋兼用果」がある。日本では梅雨があるので、腐りやすく夏果は適さないため、日本で流通しているほとんどは秋果と夏秋兼用果だ。
しかし、秋までにできる花芽が冬を越し、じっくり時間をかけて育つ夏果のほうが大きくなり、味も格別においしくなる。
味はジューシーでありながら酸味と甘みのバランスがよく、糖質が少ないため低カロリーでさっぱりしている。
その成分としては、美容にいい栄養成分が豊富に含まれており、女性向けのフルーツといえる。
果実には「アントシアニン」や「ザクロエラグ酸」などのポリフェノール類を豊富に含み、活性酸素を除去する働きで、シミ・しわ・肌荒れ予防などの美肌・エイジングケアが期待できる。
種子に含まれる「フィトエストロゲン」は、女性ホルモン「エストロゲン」と似た働きをすることで、女性ホルモンのバランスを調整し、生理前後の心身の不調や更年期障害の緩和が期待できる。
他にも「カリウム」は、体の塩分を排出する働きで、むくみの解消にいいとされ、「鉄分」は貧血や冷え性の改善が期待できる。
ただし、ビタミンCの含有量は少ないので、合わせてLypo-Cを摂取することで、補えれば。
美容以外の効能としては、水溶性食物繊維の「ペクチン」を沢山含んでいるので、腸の活動を活発にさせるなど、整腸作用やコレステロール低下作用などを有すると言われる。
「フィシン」や「アミラーゼ」などの酵素も含まれおり、ペクチンとともに消化を促進し、胃もたれや二日酔い予防にいいと言われる。
女性向きで美容によいというだけでなく、お酒や食事の消化の助けにも最適なフルーツだ。クリスマスパーティーや忘年会などが多くなるこの時期、食後のデザートにどうだろうか?
【編集後記】
イチジクは、他の果実と比べて、初心者でも育てやすく、マンションやベランダなど部屋の室内でも十分育てられます。
もともと亜熱帯地方に原産する植物なので、寒さにはやや弱い傾向がありますが、日当たりの良いところで育てれば、すくすく育ちます。
イチジクは日持ちしないので、収穫後すぐの完熟果を味わうために、お家で育ててみてはいかがでしょうか?