
フルーツを食べる人 vol.3 みかん
SUMMARY
- ・Most popular fruit in JAPAN
- ・味は温かいのが良いか?冷たいのが良いか?
- ・あの皮の秘められた特長
これまでご好評を頂き特集でお送りしている”フルーツを食べる人”。今回は、冬にお馴染みのフルーツとしてみかんを取り上げます。
日本を代表するフルーツといえば、何だろうか?
誰もがすぐに思い浮かべるのは「みかん」ではないだろうか?
昨年のフルーツの国内生産量のうち、みかんの生産量は1位で、2位のりんごとの差は僅かだが、昔ながらの日本のフルーツといえば、やはりみかんだろう。
みかんというのは、皮を剥きやすい小さな柑橘類のフルーツの総称で、主に温州みかんのことを指す。「温州」とは中国の有名な柑橘類(※みかんとは別種)の産地で、そこにあやかって名付けられたが、原産地は鹿児島といわれている。
温州みかんは、種がない食べやすさや収穫量の多さ、また暖かい気候を好むことから、明治時代以降に普及し、主に関東以西の沿岸地域で栽培が盛んになった。暖かい地域の山間傾斜地には、みかん畑をよく目にする。
収穫時期が冬であることから、こたつの中で温まりながらみかんを食べるというのは冬の風物詩となった。これには理に適った理由がある。
みかんを温めると酸っぱい味の成分であるクエン酸が減る。これにより、みかんは甘くなるのだ。
逆に冷やすとどうなるだろうか?
みかんには冷凍みかんというものがある。給食に出たり、電車での長旅の際に駅で買うなどした記憶がある方もいるのではないだろうか。
一般的には食べ物の甘さは、冷やすと感じにくくなるといわれる。しかし、みかんの甘味成分である果糖には、冷やすことで甘味が増す性質があり、冷凍みかんは甘く感じるのだ。
みかんは人が手を加えて、温めても冷やしても甘くなるというのは興味深い特徴だ。
みかんは手軽に皮が剥けるのも特徴だ。一皮剥くと、さらに内側の皮に包まれた実が出てくる。外側の皮との間には白い繊維状の筋のような中果皮があり、「アルベド」という。
アルベドは、食物繊維が豊富な上に、「ヘスペリジン」というポリフェノールを含んでおり、実の部分より栄養価が高い。
このヘスペリジンはビタミンCを守り、安定化させる働きがあったり、毛細血管のケア、脂肪分解効果が期待できるなど、健康維持のための重要な栄養素として知られているので、是非積極的に摂取したい。
剥いた後に余った皮も栄養豊富で、乾燥させた皮は、「陳皮」と呼ばれる。 陳皮は咳や痰を鎮める働きが期待できるため、漢方では風邪薬にも用いられている。
そして、陳皮には柑橘特有のさわやかな香り成分「リモネン」が含まれており、リラックス効果や保温効果があるといわれている。陳皮を入浴剤としてお風呂に入れるもよし、お茶やお酒にするもよしだ。
この冬、みかんをいつもと違った方法で楽しんでみてはいかがだろうか。
【編集後記】
みかんは冬が旬で栄養豊富なフルーツなので、この時期食べるのにおすすめですが、2つ注意したい点があります。
一つ目は、紫外線の吸収を高め、肌の炎症や色素沈着を引き起こす光毒性物質である「ソラレン」を含んでいるので、朝食べるよりも夜食べることがおすすめです。
二つ目は、「柑皮症」で、食べ過ぎると一時的に肌が黄色くなってしまうので、食べ過ぎには注意しましょう。