健康維持には日光浴がおすすめ?日光浴のポイントや注意点
SUMMARY
- ・健康のために日光浴がおすすめの理由
- ・健康のために日光浴をする際のポイント
- ・健康のために日光を浴びる際の注意点
- ・日光浴を取り入れて健康を維持しよう
「日光浴は体にいい」と聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?しかし、具体的にどんな効果があるか、なぜ健康に影響するのか、分からない人も多いはず。日光浴が体にいい理由には、体内のホルモンやビタミンの働きが関わっています。
そこで今回は、日光浴の健康効果について詳しく紹介します。また、日光浴をする際の注意点も解説するので、ぜひ参考にしてください。
健康のために日光浴がおすすめの理由
健康のために日光浴がおすすめの理由は、主に4つあります。ひとつずつ見ていきましょう。
● セロトニンが分泌される
セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれることもある、精神を安定させる脳内物質です。神経を興奮させる「ノルアドレナリン」や、快感をもたらす「ドーパミン」と並び、人間の精神面に大きな影響を与える「3大神経物質」の1つです。
セロトニンは、リズミカルな運動をしている時や、人と触れ合っている時にも分泌されます。セロトニンが不足すると、イライラ感や疲労感、うつ症状などが起こることがあります。
うつ病の1つである「季節性感情障害(冬季うつ)」の主な原因は、セロトニンの分泌量の低下です。日照時間が短くなることで、セロトニンの分泌が低下することが影響していると考えられています。
● メラトニンの分泌が促進される
メラトニンは「睡眠ホルモン」とも呼ばれているホルモンです。睡眠や覚醒のリズムを調整する働きがあります。睡眠や覚醒のリズムが整うと、体内時計が正常に保たれ、睡眠の質が上がりやすくなります。
朝に日光を浴びるとメラトニンが抑制され、起きてから15時間が経つと再び増加します。夜のメラトニンの分泌量は、日中の何十倍にもなり、自然に眠くなります。この作用により、人間は覚醒と睡眠を切り替えることができます。
健康を保つには、メラトニン分泌のリズムを妨げないことが大切です。夜中にパソコンやスマートフォンなどの強い光を浴びると、メラトニンの分泌が抑制されるため、体内のリズムが乱れやすくなります。
● ビタミンDが生成される
ビタミンDは健康維持に欠かせない栄養のひとつです。しかし、食生活の変化によって多くの日本人はビタミンDが不足している傾向にあります。
2023年の東京慈恵会医科大学の研究によると、東京都内で健康診断を受けた5,518人を対象に調査では、98%がビタミンD不足であることが分かりました。
【出典】
「98%の日本人が「ビタミンD不足」に該当 国内初の基準値を公表、植物由来のビタミンDはほぼ検出されず」(東京慈恵会医科大学)
https://www.jikei.ac.jp/news/press_release_20230605.html
● 体内時計を整えられる
体内時計とは、人間が生まれながらに持っているリズムのことです。地球は24時間周期で回っていますが、人間の体内時計は1時間長い「25時間」といわれています。
この1時間の差を調整するために必要なのが日光です。日光には体内時計を進め、24時間周期に合わせる働きがあります。
体内時計が乱れると、疲労感や食欲不振を引き起こすリスクが高まります。また、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の原因になることもあるため、注意しましょう。
健康のために日光浴をする際のポイント
日光浴をする際はいくつかのポイントがあります。日光浴の効果を十分に得るために、以下の点を守るようにしましょう。
● 日光に当たる目安の時間を把握する
日光に当たる時間は、春や夏なら1日15分程度、秋や冬なら1日30分程度が目安です。また日光浴の時間帯は朝がおすすめです。メラトニンの生成が抑制され、シャキッと目が覚めるようになります。
また、体内時計を正常に動かすためにも、毎日決まった時間に起きるといいでしょう。前日の就寝時間が遅くなったとしても、同じ時間帯に起きることが大切です。体内時計によって、朝の光を浴びてから、約15時間後に眠くなるため、起床時間はできるだけ変えないようにしましょう。
● 日光浴は継続的に行う
日光浴はできるだけ習慣化することが大切です。自分の生活スタイルに合わせて、継続しやすい方法を取り入れるといいでしょう。
日光浴を習慣にするには、散歩やウォーキングで取り入れるのがおすすめです。朝食を食べた後にウォーキングをすると、血糖値を抑えられるとされています。さらに血行が促進され、すっきりした気分で1日を始められます。仕事や家事の効率が高まる効果も期待できるでしょう。
また、外でヨガやストレッチをするのも、日光浴を習慣化するのに有効です。公園やビーチで、ヨガ教室を実施しているところもあります。自然の音を聞きながら体を動かせるため、リラックスした気分を味わえます。外でヨガやストレッチをする場合は、他の利用者の迷惑にならないか配慮して行いましょう。
● 日光浴の際は日焼け止めを使用しない
日焼け止めは、ビタミンDの生成を阻害する恐れがあります。ビタミンDの生成に関わる紫外線の波長は、日焼けをする紫外線の波長とほぼ同じです。SPF30の日焼け止めを使用すると、ビタミンDの生成は5%以下に減少することが分かっています。
しかし、紫外線はシミやたるみを引き起こす原因にもなるため、日焼け止めを塗りたいという人もいるでしょう。肌への影響が気になる場合は、顔だけ日焼け止めを塗り、手や足に直接日光を当てるといいでしょう。
また、手のひらや足の裏でも、ビタミンDの生成を促すことができます。手のひらや足の裏は、メラニン色素が少ないため、あまり日焼けをしません。ビタミンDの生成には問題ないため、日焼けの影響を抑えたい人は、手のひらや足の裏を日光に当てるといいでしょう。
【出典】「紫外線環境保健マニュアル2020」(環境庁)
https://www.env.go.jp/content/900410650.pdf
健康のために日光を浴びる際の注意点
健康面でプラスの効果を発揮する日光浴ですが、注意点もあります。ここからは、日光浴をする際の注意点について解説します。
● 長時間の日光浴は控える
長時間日光に当たると、赤みや色素沈着などが起こります。日焼けによって引き起こされる赤みは「サンバーン」と呼ばれる現象です。細胞がダメージを受けて、皮膚の血流が増加することで起こります。
また、日焼けによって起こる色素沈着が「サンタン」です。紫外線の侵入を防ごうと、メラニン色素を分泌することで起こります。
このように、過度な日焼けは健康にマイナスの影響をもたらすことがあります。長時間屋外で過ごす場合は、衣類や日焼け止めを使って、肌を守ることが大切です。
【出典】「紫外線環境保健マニュアル2020」(環境庁)
https://www.env.go.jp/content/900410650.pdf
● なるべく屋外で日光を浴びる
紫外線は2種類あり、ビタミンDの生成に関わる紫外線はガラスを透過できません。そのため、日光浴をする際はベランダに出たり、窓を開けたりするといいでしょう。
また、ビタミンDの生成を効率よく行うには、露出した肌に日光を当てる必要があります。長袖よりも、半袖で日光浴をしたほうが、ビタミンDが生成されやすくなります。
日光浴を取り入れて健康を維持しよう
この記事では、日光浴の健康効果やその理由について解説しました。日光浴を行うとストレス解消や睡眠の質向上など、さまざまな健康効果を期待できます。特に室内で過ごすことが多い人は、積極的に取り入れるといいでしょう。
また、日光浴をする際は、直接肌に光を当てることが大切です。日焼け止めを使うと効果が減少してしまうため、注意しましょう。ぜひこの記事を参考に、日光浴を毎日の習慣に取り入れ、健康維持に役立ててください。
記事監修
長谷川悠院長
You’s clinic Aoyama
順天堂大学医学部・同大学大学院卒業後、順天堂医院形成外科・同医院放射線科に所属。
都内の美容クリニックにて勤務した後、複数のクリニックにて院長に就任。
2021年3月にYou's clinic Aoyamaを開院。
プライベート空間で患者さまに寄り添いながら、日々美容・健康と向き合っている。